警察手帳は必需品Ⅱ

　実は、先輩と二人で手帳を携帯しなかったことがその後にもあった。

　刑事課（当時は捜査課という名前だった）で待機中、管内でひったくり事件が発生し重点警戒（緊急配備よりも規模の小さい配備）が発令された。

　暴力団係とはいえ、そんな時は、係関係なく初動捜査に従事する。

　二人ですぐに現場付近に急行し、付近や通行人に聞き込みを行った。

　ちょうど現場方向から３０歳前後の女性が歩いて来たため呼び止めて聞き込みを開始した。
　例によって、二人とも手帳を携帯しておらず、Ｓ先輩の顔（たぶん・・・）を見たとたん、その女性、不信感をあらわにした。

　しかし、我々だって前回の経験がある。　さすが先輩、そのときは機転を利かせ、持っていた警察無線機を女性に見せ
　　これが警察無線です
　　　　　我々はＧ署の刑事です
と説明した。

　それが、功を奏したのか、その女性聞き込みに応じてくれた。
　　　（自分では、警察無線よりも、さわやかなＢｏｏの姿勢態度が伝わったと自負していた）

　当日、残念ながら犯人の検挙に至らず、２時間程度検索をして署に戻った。

　戻るやいなや、課長から
　　　　お前たち二人、○○付近で聞き込みをしたか？
と聞かれ、その辺で聞き込みしていた旨を話した。

　　課長は
　　　　やっぱりな・・・と言い、他の課員は
　　　　ぎゃはは
と笑い出した。
　　　　なんなんだいったい？
と訳を聞いたところ。
　　○○付近でやくざ風の二人が刑事を名乗ってうろついている
　　本当にＧ署の刑事か？
って通報があったんだって・・・(--;)

　それ以来、警察手帳を忘れたことはない・・・・

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